飯豊連峰 前衛 二王子岳 (1,420.3m)会山行 雪上講習(雪洞泊)



山陰の低気圧のおかげで、疑似好天っぽい穏やかな朝だった  GPS LOG
   
 二王子神社  独標の計測柱で雪は約3.8m
   
 独標からの新発田市街地方向  雪洞構築開始〜
   
 非常に硬く締まった雪だ  概ね竣工
   
 天井から水滴が落ちない様にキレイに均した  竣工検査
   
酒宴の始まり〜  美味しいね〜♪
   
 白い雪の部屋にロウソクの明かりがキレイです  雪の壁の食器棚
 
 NENさん収納中  三王子付近から避難小屋が見えた
   
 山頂のモンスター君  読図&コンパスの勉強
   
 三光山方向  ビーコン&プローブの練習
   
 ビーコンを付けたダミー発見  簡易シェルター構築 ザックを5つを雪で埋めて・・・・
   
 ザックを引きぬいて 丁度2人分、15分程度で構築できました
   



会山行  南俣集落〜二王子岳山頂
日 時      平成23年02月11日(金・祝)〜12日(土)
参加者     DAE(坂場 担当・CL)さん、NEN(石井)さん、小野さん、渡辺(し)さん、諏方さん、坂井さん、OCG(田中)さん、新井田さん、LTQ(私)下越山岳会
       送り VXT(川崎)さん、渡部さん、金井さん(南俣集落まで)
       迎え VXT(川崎)さん、渡部さん、松尾さん(VXT・松尾さんは一王子小屋・渡部さんは南俣集落まで迎えに来て頂きました。)

行き先     飯豊連峰 前衛 二王子岳 
天 候      曇り時々小雪 時折薄日も射す

目 的    雪洞泊&ルートファインディング・ビーコントレーニング他
装 備    冬山低山泊まり装備
登はん用具:なし
雪山用具として、Wストック、スノーシュー・スコップ・スノーソー
ナビ用品:GPS・地図・シルバコンパス・マップポインター・デフ棒(標識棒)
防寒具:カッパで代用・ダウンジャケット・テントシューズ



2月11日(金・建国記念日)
コースタイム        事 柄
06:30分 集合場所集合集発
06:50分 南俣集落   (100m)      
07:15分 南俣集落発                SIZが先行していく。
08:03分 二王子神社  (300m)         林道は硬く締まりツボ足で歩く
08:14分 二王子神社発               須藤さんが来られた。
09:54分 一王子上の冬尾根ピーク(789m)
10:58分 独標         (994m)     
12:15分 1,202mピーク南側の雪洞適地着    皆さんが揃うまで待ち行動食を摂る
13:00分                         雪洞構築開始
15:50分                         雪洞完成 雪が硬く苦労した

2月12日(土)
08:30分 宿泊地発   
09:57分 三王子         (1,369m)
09:24分 二王子岳       (1,420.3m)着
10:06分 山頂小屋発      コンパスを細かく出しながら確認する練習を繰り返す
11:16分 宿泊地着        ビーコン・プローブ・埋没体験等
12:05分 宿泊地発
12:26分 独標            (994m)
12:52分 一王子小屋着      (730m)
13:32分 一王子小屋発
14:03分 二王子神社        (300m)簡易シェルター構築実験
14:34分 二王子神社発
15:11分 南俣集落       (100m) 


データ
TP積算距離    16.1km
TP移動時間     5:47
移動平均速度    2.8km
全体平均速度    1.6km
総上昇量      1,419m
以上GPSデータ


概略
ボクの所属会では会山行としての雪洞泊山行を不定期に行っている。昨年は雪洞構築のみで雪洞泊は催されなかったけれど、今年は開催の運びとなった。
雪洞は、テントと異なりバタバタ煩い音もなく、非常に快適である半面、構築に時間がかかるし、湿気対策等は必要である。

また、緊急野営としての側面もあり雪山の技術としての価値も高い。併せて、担当・CLのDAEさんが、ビーコン他の講習を企画して頂いた。
今年入会の新井田君は36歳世間では、いっぱしのいいオトナであるが、現在の山岳団体の人口構成では若手という部類である、その彼が入会早々で
雪洞泊に参加頂いたのは心強い限りである。是非、色々な山で沢山の感動を得て頂きたい。
当会に限らず、山岳団体の平均的な年齢層は高くなっている。40代半ばの頃、高橋顧問に「年金を貰うまでは若い衆だ」と言われて苦笑した覚えがある。

会のメンバーも出来るだけ多くの機会を提供して頂きたい。。
将来、彼が尾根・藪・沢・岩・氷・雪山・山スキー等どんな指向でヤマに入っていくのか?
非常に興味深いものがあります。
会の内外を問わず、色々な方々に触れ合いながらいい良い登山をして、より良いヤマ屋になってもらいたいものです。




記録

2月11日(金・祝)
集合場所に到着すると、観光バスが待機しており、多くの人達がいた。いつもは静かな場所なんだが、今日は大賑わい。
今年は、雪が多いうえ、もしかの積雪に備え、駐車場所の選定を考えると、これはお送り頂くのが無難とのCLの判断で送迎隊を付けて頂いた。
送迎の皆様、連休中にも関わらずお世話になりました。感謝申し上げます。

南俣集落までお送り頂き準備をしていると、SIZ(二王子の常連さんで新発田市在住の長谷川さん)が先行していく。
天候は高曇りで風も穏やかだ。南俣からの林道は硬く締まりツボ足でOK。スタスタ歩いて二王子神社。

一休みしていると、当会大先輩の須藤さんが来られた。SIZが先行して行く。
我々は、泊まり装備なのでノンビリ登る。

一王子小屋には寄らず789P下付近でスノーシューを装着。穏やかないい日だ。
独標下で単独のファンスキー氏、豊栄山岳会4名が先行していく。この後抜きつ抜かれつしながら進んでいく。

油こぼし下付近の斜面で雪洞適地場所を探す。まあ、ここだろうか?という斜面でOCG、NENと3名で、CLのDAEさんの到着を待つ。
DAEさんも同じ見立てで場所が決まる。

少し腹に入れて、DAEさんの設計指示により作業開始。
目標は1時間で完成させる。・・・・当初目標。

掘り始めたら非常に硬く締まったパックスノーでスコップもなかなか刺さらない程である。
雪の表面は最近の暖気でザラメになっているものの雪壁の内部の雪は締まり雪で降雪時の気温が閉じ込められているかのようだ。
幸いスノーソーがあったので助かった。

並んで2か所から掘り進んで行く。掘り始めた場所から奥行で3m強、で横を広げ隣との通路を開ける。通路は高さ幅も抑えめにしないと崩壊を招くので
あくまでも2つ穴を連結させる感じとなる。

雪洞の天井・壁は凸があると、火器・人体からの熱で溶けて滴となるので、出来るだけ平滑に仕上げたい。
雪が硬いのと、居住環境を優先して2時間かけて丁寧に仕上げた雪洞はDAEさんにしても、出来はかつての3本指に入るとの高評価で
惜しむらくは、時間がかかり過ぎたとのこと。
NENさんもNO1の出来との高評価となりました。

緊急野営(フォースト・ビバーク)であれば、当然2時間は、構築時間とすればかかり過ぎだけど、今回はトレーニングであるので快適性を求めたいので
丁寧な雪洞となった。7人で大休止なしで作ったのだから、相当な仕事量だ。

荷物を収めて各自持参の一品のツマミに鍋をつついて雪洞泊ならではの時間を楽しむ。
途中、豊栄山岳会の外山さん、嶋さんが来られた。お二人もごく近い場所で雪洞泊をされていた。

この夜はエンジンのかかりが遅めで。就寝前になりようやくハイトップ。かなりの酒量を消化した。
風も弱く、冷えた空気のなか新発田の夜景がキレイだった。



2月12日(土)
朝目覚めるとアルコールが少し残り按配でボーっとしている。
予定時間を大幅に遅れた起床から朝食の準備をしていると豊栄山岳さんの外山さんが山頂に向けて出かける。とお声掛けを頂いたが、当方はまだ
朝食前。ウドンで朝食を摂り出発する。

空は高曇りで薄日が射している。宿泊地から僅かな距離で油こぼしとなる。
ユックリと油こぼしを登り三王子を目指す。ポイント毎に角度を確認する。
ボクが以前採ったポイントとややズレがあったり、欠損していたり、増えている様だ。
三王子まで登ると、山頂小屋が見えた。視程は1キロ以上はありそうだ。
高曇りで柔らかい光の中バワリ峰がボンヤリと見える。これはこれで美しいものだ。

雨量計まで来たけれど、飯豊の主稜線は雲の中で見えない。
山頂のモンスター君前で写真を撮る。風も弱く暖かい感じがする位穏やかだ。ボクの足先を除いて・・・
相変わらず足先の冷えは感じている。日常生活ではあまり冷えを感じなくなってきているのであるが、やはりヤマに上がると冷たさ
を感じる。少し痛いので頻繁に足先をモゾモゾと動かす。

小屋の中で軽食を摂って名残惜しいけれど下山する。全員で地図とコンパスでルート角度、地形を確認しながら下る。
宿泊地まで戻り、ビーコン訓練、プローブ(ゾンデ棒)の練習。埋没体験。
パッキングし直して下山。

VXTさん、松尾さんが一王子小屋まで上がってきて待っていて下さった。一王子小屋で暫く食事を採ったり暖かい飲み物を
頂いて休憩して二王子神社を目指し下山する。

二王子神社の炊事場脇でCLがどこかで見聞きしたという、簡易シェルターを作ってみることに。
ザックを縦に4つ並べて上にザックを横にして置き、シートで覆う。
廻りの雪をザックにかけて、雪で覆う。
入口にしたい場所を下目から掘り、ザックを引きだすと、ザック4個分の容量の空間ができた。
大人2名が座れる程度の広さが確保できた。構築まで概ね15分。
4名なら、2回同じ方法で確保すれば良いだろう。
難点としては、日帰り用の小型ザックでは充分な空間が確保できないことだろう。
斜面のない場所で、竪穴式の雪洞と並んで知識の引き出しに入れておこうと思う。
技術、知識の引き出しは多い方が良い。現場の状況に応じて最良の方法、技術を選択すればよいと思います。


二王子神社を後に南俣集落まで戻ると、渡部さんが暖かいレモネードを用意して待っていて下さった。
車に分乗させて頂き集合場所に戻り解散した。

LのDAEさん、参加メンバー、そして送迎を引き受けて下さった方々ありがとうございました。

PS
これは、個人的な意見というか見立てなのだが、昨今軽量化・・・ライト&ファストが流行というか主流であるが、冬山特に越後・東北の日本海側いわゆる
豪雪地の登山はこれはいかにも体力勝負の部分が大きい。
夏場にシッカリ荷物を担いで体力を付ける工夫も必要と思う。
私個人ではスピードトレーニング以外、通常の夏山日帰りでも10キロ以下で歩くことはない。概ね13キロ〜15キロが無雪期日帰り低山の重さ。
歩荷トレーニングなら25キロ〜となる。
今回、ふと感じた部分では、荷物の重さ慣れが不足していると思われる方が数名見受けれた。
おそらく、夏場に軽量化に努力した副作用だろうと思う。


雪山を歩くなら男性なら夏場で15キロ前後
女性でも10キロ以上を月に何回かは担いで歩いた方が良いと思う。
半面、5キロ以下で目一杯の速さで歩くというトレーニングも効果がある。
前者は体幹を中心とした静的筋力+スタミナ・・・重荷は担いでいるだけで姿勢を保つために筋力が必要なのだ。
後者は心肺機能向上に役立つはず。

軽量化していつもと同じ時間で歩いていたら、体力的には落ちてゆく。
軽量化したらそれなりに速度を上げるべき。

先輩も後輩もこれは関係なく、少し苦しい範囲の重さ・スピードで常の山行を行うことで身体的機能向上があるのであって
軽量化して楽になった。・・・・それだけでは向上することはない。
雪山に向かいあう以上、重荷に耐える体力・スタミナは必要となる。これは仕方ないこと。
そうした素地の上に軽量化を図ることで雪山の攻略があるので、夏場、足元が良い時期に担がない重量を足場の悪い積雪期に
担ぐこと自体に無理がある。


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